カンニングをした生徒に対する行きすぎた指導?自殺に追い込まれた高校生について
2021年、不幸な事件が起こった。
大阪の清風高校に通っていた男子生徒が、自殺をしたのだ。
原因は、その男子生徒がカンニングをしたことに対する「行きすぎた指導」だと、遺族はそう言って高校に訴訟を起こした。
これについて解説する。
ネット上では、「カンニングするやつが悪い」「自殺したら偉いのか」などという意見を言う者が多く見受けられるが、これらは的外れである。
問題になったのはそこではなく、「行きすぎた指導」であるからだ。
試験中に生徒のカンニングを発見した時、
「カンニングをしたから0点です」とか、停学処分にしたり退学処分にしたりとかするのは別に良い。それをする権利が学校側にはある。
一方で、そのような"手続き"とは無関係に、生徒の人格を否定するような誹謗中傷をしたのなら、それは確かに人権侵害であり、罪であり、悪いことである。
そんなことをする権利は、学校側には無いのだから。
実際、カンニングをしたその男子生徒に対して、教員は「お前は卑怯者だ」などという旨の人格否定をしていたようだ。
刑法の中にこのような罪と罰が規定されているかはよく知らないが、少なくともこれは人権侵害ではある。民事訴訟を起こされたら負ける可能性だってある訳だし、場合によっては刑事訴訟もあり得る。
例外の場合があるとするならば、学校側が発行した「もしあなたがカンニングをしたら、あなたの人格を否定するような誹謗中傷を含む厳しい指導をします。それを受け入れて下さい。」という旨が書かれた誓約書に、生徒とその両親が同意の署名をしていた場合くらいだ。
これが、この事件の問題点である。
また、「現実問題として、生徒の人格否定をしながら叱ってくるような教師は沢山いるんだから、それを想定しなかったこの男子生徒が悪い」という意見もあったが、それはやはり「行きすぎた指導」を正当化する理由にはならない。
確かにちょっと考えればわかることだが、
「そんなことすらわからないような精神状態」、もしくは「わかっていても衝動的にやってしまうような精神状態」だった可能性もある訳で、この男子生徒にも責任があるかどうかは決めつけられるところではない。
第一、悪いから何だと言うのだ。犯罪だという訳でもあるまいし、明らかにその「悪い」は、法律などの'公的な良し悪し"ではなく、"私的な良し悪し"である。
街中で強盗やひったくりを警戒せずに無防備に歩くことが犯罪ではないのと同じように、教師からの誹謗中傷を警戒せずにカンニングをしてしまったという部分は犯罪ではない。
また、カンニング自体は悪い(一応、犯罪ではない)が、だからといってそれを誹謗中傷するのが悪くないということにはならない。それはいわゆる「私刑」に該当するからだ。
さて、それを踏まえた上で、この裁判の行く末を見守るとしよう。